リンクは新装版。読んだのは2008年葉月社版。
呼吸器をつけるかどうかで揺らぐ思いをつづった
P.100から103までの短歌10首。
地獄かな 自宅介護で生きる道
倒れる家族救う術なし
闇が言う 断てよ命を己が手で
家族を襲う地獄は永久ぞ
天が言う 保て命を苦しくも
妻子守るが汝が務め
寝たきりの我に愛しき妻と子を
守る術なし 逝くことが愛
子を見れば生きたくなるが
介護苦は与えられじと 迷い振りきる
呼吸器をつけずに死ぬと決めし夜に
娘の目を見て無言で詫びる
呼吸器を外し家族を捨て死ぬもよいが
あたかも自殺のごとし
医者いわく「このまま死ぬのは勝手だが
今やれる事やれ 人ならば」
隣室の呼吸器の音漏れ聞こゆ
健気に生きる友そこにあり
死を望む我に生きよと告ぐる声
廊下に響く呼吸器の音