白崎朝子『Passion ケアという「仕事」』

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……「弱者」になった自分を肯定できない利用者は、かつて自らが持っていた支配力を復権させようと、性暴力を武器にする。

(p.116)

 

「対応が未熟だからセクハラに遭う」という意識は、現場だけでなく、著名な福祉系研究者にも蔓延している。……セクハラは暴力であり、人権侵害だという事実を、職員や研究者にきちんと認識して欲しい。

(p.118)

 

  私は30年以上現場で生きてきたが、2006年の介護保険改悪以降、賃金引き下げ、非正規の増大、研修が激減していく様をつぶさに見てきた。介護保険改悪の嵐。それは現場を荒廃させた。職員による虐待は2018年までの5年間で3倍。2016年度は452件。2006年度の調査開始以来、最多だった(厚労省平成27・28年度調査による)。

一方、2007年の介護労働安定センターの実態調査では、利用者からのセクハラ被害を受けたヘルパーは平均11%。調査媒体により数値は違うが、2018年は3~8割に拡大。利用者からのセクハラは、職員の利用者虐待と比例しているのではないか。介護現場では、利用者と介護者がお互いに暴力をふるっている状況だと言える。

(p. 126-7)

 

 介護保険の経営者たちは医療法人やガス会社や居酒屋チェーンなど、母体が別な場合が多く、介護保険事業単体だと運営が厳しいという。それは沖縄だけではなく、ヤマトも「人」を大切にする良心的な中小企業は介護保険改訂の度に潰れ、どんどん大企業に吸収されている。

(p. 163)