山川徹『ドキュメント災害関連死 最後の声』(角川書店 2022)
終章「救われる命」 小見出し「災害関連殺人」(p. 304-307)
●著者は夫の国選弁護人だった鹿瀬島正剛から話を聞いて、書いている。
鹿瀬島は、熊本地震ののちに熊本弁護士会が立ち上げた災害対策委員会の委員長だった人物。
●震災前から70代の妻と二人暮らし。生活保護を受給しつつ、5年ほど前から体調を崩して入退院を繰り返す妻を一人で介護していた。 近所の人たちが1,2時間妻を見てくれる間に、図書館やパチンコで息抜きをしていたが、地震でアパートが損傷し、500メートルほど離れた場所のアパートで暮らすことになる。新たな街で頼れる人がいなくなり、介護に追われ、孤立。震災を機に妻の体調も悪化した。妻は要介護1の認定を受けるも、妻がサービス利用を拒否。
●2017年4月8日 妻の首をタオルで絞めて殺害。
「妻を楽にしてあげたかった」
●11月17日 熊本地裁は懲役3年、執行猶予5年の判決。裁判員裁判。裁判員も熊本地震の経験者。同情の念があったのだろうと、著者は推測している。