カルチャーカフェ(2021年10月30日) 小林真紀先生のベルギーの安楽死法に関する講演メモ

フランス、ベルギー、ルクセンブルクの終末期に関する法律が研究テーマ

(言語が同じ)

 

現在、安楽死と医師幇助自殺が合法化されている国々として挙げられていたリストは

不正確だった。(議会は通過したが最終的な合法化に至っていないポルトガルが入っていたり、豪はヴィクトリア州だけだったり)

 

安楽死が法律で認められているという言い方をされるが、実際には医師に違法性が阻却される条件が定められているだけで、その要件が認められなければ犯罪として処罰される。権利が認められているわけではない。

(カナダでは、合法的な医療サービスである以上、患者には利用する権利がある、という判決があること、質疑の際にお話)

 

「法がなければ、ALSのような人が生き続けなければならない」という発言は、問題では? とspitzibaraとしては思った。

 

 しかし、法を作ればいいのか、そこには問題がいくつもある。すべり坂、弱者への圧。

 

その問題の一つとして、ベルギーで精神障害者認知症の人への安楽死が増え、議論になっている実態を詳細に指摘。

 

ベルギーは法の名前に「安楽死」が入っている、オランダは入っていない。

事理弁識能力がある子にも認められるが、

子どもの場合は精神障害のみでは不可。また死が切迫していなければ不可。

 

成人の場合、肉体的又は精神的苦痛のうちどちらかで認められるが、

その苦痛の発生源に病気がなければならない。

 

2019年4月27日 ベルギー医師会から精神障碍者安楽死の指針。

合理的な期間(1か月)を置くことの保障。

ただし、置きすぎて患者が自殺したケースも。

 

認知症の患者は、軽度でないと認められない。

事前指示書が有効と認められるための条件3つの中に

「意識がない」というのが含まれているため。

 

またADは将来への恐怖から作られていることを考えると、

「死にたい」という要請をどのようにとらえるか。

 

オランダでは認知症患者の安楽死はベルギーよりも割合が高い。

ADによる安楽死が認められており、

むしろADがあることは絶対視され、それ以降は意志確認しなくてもよい。

また重度の認知症であることそのものが苦痛と認定される。

 

コーヒー事件の解説。

 

コロナの面会禁止で高齢者施設の高齢者からの要請が急増。

「生きることに対する疲れ」による要請が議論になっている。

 

社会の中で一番弱い人たちにしわ寄せがくる。